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過渡期を迎えたメトロバンクーバーの不動産市場

2025年に過渡期を迎えたカナダ、BC州の不動産

バンクーバーやフレーザーバレーを中心とする、ローワーメインランドの住宅市場は9月以降も引き続き低調な状態が続いています。春のUS関税不安による低迷後、利下げ効果で一時的に回復を見せたものの、秋の市場は再び頭打ちとなりました。年初からの累計販売は前年比約12%減で、不動産ブームの起きる以前の2000年以来の低さとなりそうです。

特に地元経済に直結・連動しているフレーザーバレー地域での販売鈍化は顕著で、製造業を通じた関税リスク、経済不安や、元々ファーストタイムバイヤー向けの物件比重が高い事などが要因と考えられます。需要の低迷と高水準の在庫が続く事で、今後も市場は軟調に推移すると見込まれます。売り出し物件数は前年比で15%以上も増加し、グレーターバンクーバー、フレーザーバレーを合わせると実に27,500軒以上が売りに出ています(9月統計)。販売件数÷在庫数で計算される指標 (Sale-to-Active Listing Ratio)は10%前後となっており、明確な買い手優位市場(バイヤーズ・マーケット)を示しています。

2025年9月の不動産統計へのリンク↓

グレーターバンクーバー市場

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フレーザーバレー市場

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不動産価格自体は比較的底堅く推移していますが、それでも今春からの6カ月で軒並み5~6%の下落となっています。コンドミニアム物件は在庫過剰感が高く、特に新築の未販売物件が多数あり、これらが市場に流入する事によって引き続き価格は下降すると予想されています。また戸建て物件など$2ミリオンを超える高額物件は完全に買い手を失っている状態で、販売率も8%以下と、これからダウンサイズを予定している層にとってはかなり厳しい状況と言えます。

BC州の人口減少

2025年第2四半期、BC州の人口は縮小に転じ、2期連続の減少となりました。カナダ国内で人口減少を記録したのはBC州のみで、不動産や生活コストの高騰が倦厭され、多くの人が他州へ移住していると考えられます。人口減少の主因は就労ビザ、学生ビザの受け入れ大幅削減による人口流出で、ビザの期限切れによって約15%近くが国外へ流出したと推測されています。

2002年からほぼ右肩上がりで上昇を続けたメトロバンクーバーの不動産ですが、今回は回復の起爆要素が全く無い状態で、今まで続いた急成長期の終わりと転換期を迎えていると感じます。既に失業率も6%を超えており、今後移民の受け入れ制限や、外国人による不動産購入規制が解除されない限り、新な外貨資本の流入が見込めず、州全体の経済活動や企業収益にも大きな影響が出てくると思います。

2000年までの不動産市場は約5年サイクルで上昇と下降を繰り返していますので、恐らく今回の市場調整も5年単位くらいで緩やかに下降、上昇を繰り返すのではと予想します。これら不動産相場は買い手側と売り手側で利益が相反しますので、今後ご購入をご検討の方には絶好のタイミングと言えます。来春に売買をご検討の方はお早めに専門家にご相談ください。

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